私は2007年〜2012年まで「おたく」を経験しました。それ以降は、ここで起きていたことをまとめておたくの世界を文章化する活動をしております。今回は、私自身の経験と実際に辞めることができた知り合いのエピソードを織り交ぜながら「ヲタ卒するにはどうしたらいいのか」 を考えていきます。
アイドルヲタだと自認している方で、ヲタを辞めたくても何らかの理由で続けてしまっている方が数%くらいはいるのではないかと考えております。
ヲタ活が終わるきっかけ
●応援していたグループが解散する
これはあまりにもショックが大きいと思います。私もSDN48というアイドルグループを応援していましたが、最終的に辞めたのはこれが一番の理由です。
●推しメンが辞める
「単推し」の方にとっては唯一の推しメンが卒業、脱退(最悪の場合はそのまま芸能界引退)する出来事のショックたるや半端ない出来事です。これによって自身のヲタとしての存在意義が失われ辞めていきます。
●時間が取れなくなる
学生ヲタが社会人になると、以前に比べてほとんど休めなくなることが多いです。特にイベントが集中する土日勤務の仕事になれば自然と活動しなくなります。
また平日のイベントに気軽に行ける都市部(東京近辺)のヲタに比べて、週末しか活動できない遠方のヲタも頻繁に時間が取れなくなってくることがあります。
●お金が無くなっていく
現場までの交通費・イベント参加費やグッズ代・握手券(付きCD)代などともかくヲタは不利を強いられています。お金に余裕のない方ほど辞めたいと思う気持ちが湧いてくるでしょう。
ただし単純に「お金が無い」ということで辞めていく方はあまり多くないと思います。
あるアイドルの、あるイベントの特典に対してお金を出す価値に見合わなければ、別の現場を求めていくだけかもしれません。
例えばAKB48ヲタが、当選率の低いAKB48劇場の観覧料3,000円の公演に何度も何度も応募してやっと当選して入れたものの、実際公演を見終えたあとに、当初描いていたイメージと乖離していた・・・つまり思ったよりも興奮が湧かなかったとき、 ヲタは2,000円で当日でも入りやすい地下アイドルのライブを求め始めるのです。
なぜならそちらのほうが安くアイドルを間近に感じることができるからです。
●他のヲタに凹まされる
ヲタ同士のコミュニティがあって、同じアイドルを推しているヲタ(推し被り)がいるとすると、その方との対抗心を持つようになることがあります。
特に顕著なのは握手会で、あるアイドルがヲタによって異なる反応をした場合、「あいつはあのメンバーに好かれているのにオレは・・・」という劣等感を味わってしまいます。
こうした「オレが一番○○ちゃんが好きなのに、○○君のほうが推されてる」状況が続く(凹まされる)ことが続けば、ヲタを続ける意味が無いと感じるでしょう。
●推しメンに凹まされる
ヲタ同士のつながりが薄い(または無い)方でも、推しメンとの関係性が悪化することがあります。
TVやネット・ライブで気になって好きになったアイドル、といざ握手会やイベントで話してみると「自分には合ってないなぁ」と思ったり(悪い意味で)イメージと全く違うと幻滅することでヲタを辞めたくなるパターンです。
ただし、多くの場合は「推し変」という逃げ道で”辞めるのを辞めて”しまいます。
今の時代はヲタ卒しづらくなっている
以上、6パターンに整理してヲタ卒のきっかけについて解説しました。いずれの場合もフェードアウトできれば問題ありませんが、それは「今まで応援していたアイドルから離れる」だけで「アイドルヲタを完全に辞める」ことには繋がっていきません。
おそらく現在のようにアイドルが多様化し、人数も増えて、安い値段で楽しめるようになると「ここがダメならあっちにしよう」という選択肢が用意されている・・・
言い換えれば、アイドルビジネスを提供している側は多様な人々に応援してもらえるように、その時代に合わせたコンセプトやグループ、メンバーを次々と送り出し、お客さんになってもらおうとしているのでしょう。
アイドルがヲタの奪い合いを一生懸命している限り、ヲタはアイドルという大きなカゴの中で動き回るだけなのです。
大きなカゴから出て行くにはどうすれば良いのでしょうか?