ヲタを辞めよう!

常識離れな現場の世界

私は2007年〜2012年まで「おたく」を経験しました。それ以降は、ここで起きていたことをまとめておたくの世界を文章化する活動をしております。今回は、現代アイドルシーンを代表する「AKB48劇場」について取り上げます。

「ガチャ」という権利至上主義

秋葉原・AKB48劇場のロビーで行われていたのは「ガチャ」というイベントでした。

ガチャは毎日やっているというわけではなく、期間を区切って行われていました。大きな段ボール箱の中に黒いカプセルがたくさん入っており、このカプセルを1個300円で購入していたのです。

このガチャを仕切っていたのが当時のAKB48劇場支配人である、戸賀崎智信さんでした。

ガチャの特典のことを私たちは権利と言っておりまして、以下のような権利がありました。

●2ショットポラ(メンバーからの落書き付)
●3ショットポラ(同上)
2ショットポラを2枚使って4ショット(メンバー2人+ファン2人)にすることができました。

●1順後入場券
●2順後入場券
●3順後入場券
1〜3順後の入場券は劇場公演の際、抽選に関係なくそれぞれの抽選順の後に入ることができる権利です。

例えば「1順後入場券」を使うと、くじ引きで最初に入場できる10人単位のグループ(1順目)を選んだ後、つまり11人目に入ることができます。ただ実際は1順目の前でさらに優先的に入れる権利を使う人がいるため十数人目くらいとなるのですが・・・

一日劇場支配人券
1日だけ劇場の支配人になれる権利です。公演のリハーサルを見ることができたり普段はスタッフが回している抽選のガラガラを回せたり、下手の良い位置で公演を見られたりする一方で、ほかのヲタからはアンコールを求められてアンコールを発動する役目も持っていました。

100発98中券
通称「98中」。なぜ100中ではないかといいますと、申込が多くなる各公演の初日と千秋楽の分は使えないからです。例えば推しメンの生誕公演にどうしても入りたい場合に温存して使用していました。

このほか参加したことはありませんが、このような権利もありました。
メンバーとボウリング大会
●支配人と居酒屋感想戦

これらの権利を目当てにヲタはメンバーと比較的楽しいふれあいをすることができましたし、運営側にとってガチャはカプセルを用意するだけで原価がかからずに儲かるというメリットがありました。権利を行使できることは、当時のAKBヲタにとって最高の喜びであり、それを実現するために手段を選ぶことはありませんでした。

常連は「箱買い」していた

私の学生時代の後輩ヲタであったR君は、ガチャを箱買いしていました。1箱15万円するためあらかじめ劇場スタッフに購入の旨を伝え、他のヲタ4人と3万円ずつ出して買ったといいます。そりゃ、普通に考えて1人じゃなかなかポーンって買えない額ですよね。

通常の買い方と違って、箱買いならば確実に付いてくる権利がありました。

●788ポイントのカード
当時はポイントカードが発行されており、100ポイントで3順後入場券、200ポイントで1順後入場、400ポイントで2ショットポラができました。なぜ788ポイントという中途半端な値になっているかは現在でも不明です。

●生写真40枚
●メンバー指定の権利が入っている当たりが2つ

突然のガチャ廃止

かつてのヲタ活の魅力でもあった権利ですが、2009年4月29日の公式ブログでガチャの廃止が決まり、大きな騒動になりました。

【重要】お知らせ|AKB48 Official Blog 〜1830mから~ powered by アメブロ

特に落書き付ポラが発表から1週間ほどで終了することもあって劇場窓口には権利を使ってしまおうということで大量のヲタが殺到しました。メンバーが撮影した写真の上に書く落書きというのはその内容によってヲタの推され具合が一目で分かるものとなっていました。あるメンバーから愛されていたヲタはポラの裏にサインが入っていたりしたほどです。

これによりヲタの自己満足感を生むと同時に、推し被りのヲタに競争心を生み出したのです。そのような、人に見せることもできるような形で残すことができる世界に1つだけの特典が無くなったことにより、目的を失って辞めていったヲタもいました。それでも、大半のヲタはこの先も活動を続けていきました。

ガチャが終了した理由は様々ありますが、1つはAKB48のファンが増えたことにありました。2009年に入ると劇場公演の当選確率も下がり、数多くのファンに向けた活動を展開しなければなりませんでした。そのためスタッフが充てられる時間や労力をそちらに継続することが難しくなってきていたそうです。

ネット上でもガチャがあった

ガチャは劇場での販売に止まらず、SLガチャというのもありました。これはインターネット上で行うガチャのことで、ここでしか手に入らない権利もありました。

オリジナルフォトというのが当たりました\(≧▽≦)丿なんだそれ…どうやら、好きなメンバーに、好きな衣装で、好きなポーズを決めて写真をプレゼントするらしい。

↑私が過去書いた日記を見返すと、メンバーに好きな衣装とポーズを指定して撮影することができる権利があったのを思い出しました。

一応イラストを描いて劇場に送ったのですが・・・こちらの販売もほどなく終了し、その後劇場から連絡が来ることはなく権利が実行される日も来なかったのです。