春のGI戦線・最後を飾るレースといえば「宝塚記念」。
毎年6月最終週に組まれ「春のグランプリ」「上半期の総決算」などと呼ばれていますが、近年その地位低下が叫ばれているようです。
グランプリなのに・・・出走馬が揃わない
宝塚記念はファン投票上位10頭が優先出走できます。
しかし1位〜10位にランクインした馬が全て宝塚記念に出るワケではなく、ローテーションによって回避する馬が多いのが現状。
その理由として、梅雨時期に開催されることでタフな馬場となりやすく消耗戦を嫌うということや、3歳馬はNHKマイルカップ、オークスや日本ダービーといった5月に行われる最大目標のために仕上げた馬が多く、その後は秋まで休養に充てる馬が大多数ということが挙げられます。
2018年の有馬記念で優先出走権を獲得した10頭を見てみると・・・
サトノダイヤモンド 1位
サトノクラウン 5位
キセキ 7位
ヴィブロス 15位
ダンビュライト 17位
スマートレイアー 25位
ステファノス 27位
ミッキーロケット 28位
アルバート 59位
トリコロールブルー 67位
↑前述の件があるにも関わらず、ファン投票70位以内でも出られるレースなのです。
大阪杯GI昇格の悲劇
2017年、JRAは大阪杯をGIに昇格させました。
大阪杯といえば、古馬の有力どころが出てくる中距離レースです。
舞台は阪神競馬場の芝2000m。近年ドバイをはじめとした海外GIに出走する一流馬が増えていることから国内の古馬戦線を盛り上げようと格上げされました。
大阪杯のGI化によってそちらに照準を合わせる馬が増えたのは事実です。海外はちょっと・・・という馬も国内GIに出走し入着すれば高額の賞金が手に入ります。
その一方で危惧されているのは既存の春古馬GIの地位低下です。天皇賞(春)は3200mの長距離で大阪杯に続いて出走する馬は多くありません(実際、2018年の大阪杯を制したスワーヴリチャードの次走は距離の短い安田記念を選びました)。
そして宝塚記念も大阪杯と同じ阪神競馬場の内回りで200m長いコースに過ぎません。
2200mはGIレースの中でも珍しい距離で、これを「非根幹距離」と呼ぶ者もおります。
この距離だからこそ勝てる馬もいることは事実ですが、大阪杯ができた今、あえてこのレースが重要だと思う関係者は減ってきているのではないでしょうか?
宝塚記念の提言
そこで私見ですが、宝塚記念をさらに200m延ばしたらいいのではないかと思います。
阪神競馬場の芝コースには内回りと外回りがありますが、外回りコースを1周するGIは存在していません(重賞は神戸新聞杯が該当していますが3歳限定)。

阪神外回り2400mは距離延長で内回り2200mよりもタフに感じるかもしれませんが、3〜4コーナーは大回りになるためペース配分が難しくなります。このコースこそが馬券検討に役立つかもしれません。強い馬は力を発揮することができますが、サンプルがそれほど多くないため荒れる要素もはらんでいます。
時期も安田記念の次週(6月第2週)がいいのですが・・・あまりにも変えてしまうと国際GIの格を外してしまい馬券売上にも影響するのでJRAも英断を下せないのでしょうね〜
それでも、多様な競馬番組となるように頑張ってもらいたいものです。