三菱自が日産傘下へ!提携による双方のメリット・デメリットを解説するよ。

三菱自動車による燃費不正問題で、大きな動きがありました。

 電撃的な再編となった三菱自動車の日産への傘下入りですが、両社の会見が12日午後、行われ、日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、提携によって「三菱自動車は信頼を再建できる」と話しました。

「我々は新たな旅立ちの始まりにいる。三菱は我々のサポートで信頼を再建できると確信している」(日産自動車 カルロス・ゴーン社長)

会見には日産自動車のカルロス・ゴーン社長、三菱自動車の益子修会長が出席しました。日産は2370億円を出資し、第三者割当増資を引き受ける形で三菱自動車の株式の34%を取得。筆頭株主となります。

「日産自動車様との資本業務提携は、私どもの信頼の回復、経営の安定を目指すうえで重要な道筋と考えております」(三菱自動車 益子修会長)

また、燃費データ改ざん問題に揺れる三菱自動車は、日産との提携によって技術的な支援を受けることで立て直しを図りたいとしています。

なぜ提携したの?

三菱自は先の不正問題で軽自動車4車種の違法測定が判明していましたが、それ以外にも1991年以降に国内で発売したほぼ全ての車種で、違法な燃費データ測定をしていたことが明らかとなりました。販売が終了した車種を含めて数十車種にのぼり、軽自動車だけでなく普通車や大型四輪駆動車にも広がっており、三菱自関係者によると、法定通りの測定をしたと判明したのは「デリカD:5」「アウトランダーPHEV」「ミラージュ」の3車種だけだったとのことです。

違法測定、ほぼ全車種 三菱自の燃費データ(livedoor NEWS)

三菱自動車が燃費を偽装した軽自動車の「eKワゴン」「eKスペース」は不正を公表した4月20日以降販売が停止されており、4月の新車販売台数は2車種合計で前年同月比64・2%減の616台と大幅な落ち込みを記録。

三菱自の軽「eK」6割減…燃費偽装で販売停止(YOMIURI ONLINE)

ただでさえブランドイメージが急激に悪化して販売にも深刻なダメージを与えているにも関わらず、これほど酷い実態が世間に広がったことで三菱自は倒産の可能性もあったワケです。

2000年代の「リコール隠し」の際は三菱重工などの三菱グループが再建を後押ししました。しかし「またもや」という事態にグループ会社からの支援は厳しいのではないか?との声もありました。

そんな中、日産が支援に乗り出したのです。日産は、三菱自へOEM生産を委託し「デイズ」「デイズルークス」として日産ブランドで販売。メカニズムはeKと同じだったため、こちらも販売停止されており4月の新車販売台数は2車種合計で67.0%減となる、2453台と激減してしまいました。

三菱自と日産の提携は、双方にとってメリットがあるといえます。

提携によるメリット

日産側

●軽自動車の生産ラインを確保

先述の通り、日産ブランドの軽は三菱自の水島製作所(岡山県)で製造されています。日産の工場そのものには軽自動車の生産ラインは無く、将来は軽の自社生産に乗り出す考えもウワサされているほどです。

三菱自を傘下に入れることで2015年度に約19万台の軽(うち7割は日産向け)を生産していた水島製作所の大規模な製造ラインを事実上手に入れることになります。

●東南アジアでの市場拡大

その日産ですが、現在ルノー傘下でもあります。つまり三菱自はルノーの孫会社になるという言い方もできます。ルノー・日産連合はグローバル戦略を加速させていますが東南アジアでクルマが売れていません。

一方三菱自は東南アジアで高い販売実績を誇っています。2014年の販売台数は48,793台でシェア18.6%、インドネシアでも同年141,962台(同11.8%)を売り上げておりこれらは日産自の現地販売台数を大きく上回っています。とりわけパジェロは悪路に強いと定評があるといいます。

●世界のTOP3へ入る好機

世界の自動車業界を見てみると、トヨタ自動車が4年連続で首位に立っています。ダイハツと日野を含めたグループ全体の2015年の世界新車販売は1015万1000台でした。

トヨタと世界一を争っているのは、欧州の自動車最大手フォルクスワーゲングループ(同993万0600台)と、米国の自動車最大手のGM(同984万0786台)。

ルノー・日産の2015年の世界新車販売台数(ルノーグループ、日産自動車、ロシアのアフトワズを含)852万8887台。

これに三菱自の2015年の実績を合わせると約960万台になり、TOP3に肉薄する巨大グループが誕生します。

ルノー日産と三菱、960万台規模の巨大グループへ…トヨタやVWに接近(レスポンス)

三菱側

●水島製作所(国内工場)の安定稼働へ

5月10日現在、水島製作所の全従業員約3,600人のうち、軽の生産に携わっていた約1,300人が自宅待機を余儀なくされています。このままの状態が長引けば、三菱自本体はもちろん、水島製作所(岡山県倉敷市)に主要部品を納める地場のサプライヤー、周辺の関連会社を含めた地域経済に大きな影響を与えることになります。

軽の生産を再開させるには、燃費と排ガスの測定をやり直して新たな性能値を公表したあと、国土交通省の認証を経て、カタログの手直しなどを行わないといけません。

自動車評論家の国沢光宏氏によると「eKワゴンとデイズの生産再開&販売再開は下を見て4~5ヶ月後くらいになるんじゃなかろうか。」とみています。

工場停止長引く。今後三菱自動車はどうなる?(23日)

つまり早くても8月以降にやっと元の体制に戻り始めるようです。自力での再建が困難な中、日産に救いを求めて販売再開と体質改善を進めていくことを決めたようです。

提携によるデメリット

当然、デメリットも考えなくてはいけません。三菱自のブランドは存続していくことになりそうですが先述の通りブランドイメージは失墜しており、販売店の削減・整理を迫られる可能性がありそうです。

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傘下に収める日産も、三菱の再建に多額の経費を負担する必要があります。また三菱が比較的得意としているEV(電気自動車)技術は日産のほうが凌駕しており「思ったほどメリットが得られない」ことがデメリットとして挙げられるといえます。

振り返ると、自動車メーカー同士の提携は上手くいかなかったことが少なくありません。マツダとフォードの提携、スズキとGMの提携しかりです。

日産と三菱の提携が吉と出るか、それとも凶と出るか。

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