●ピース又吉 芥川賞受賞の快挙「何も考えずに…」無欲の栄冠(スポーツニッポン)
第153回・芥川賞の受賞作の1つにお笑いコンピ・ピースの又吉直樹さんの中編小説「火花」が選ばれました。お笑い芸人が芥川賞を受賞するのは史上初。本人が敬愛する太宰治も取れなかった名誉ある賞を、羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」と同時に受賞しました。
又吉さんは大の読書好きでも知られ、TV番組「アメトーーク!」の読書芸人でもその造詣の深さを窺い知ることができます。
(※ここからはネタバレ注意です)
私は読書に関しては苦手なほうですが、最近スマホでkindleアプリを入れるようになってから色々と読んでいます。そういった読書素人な視点から書かせて頂きます。
「文学」というと読みにくそうだなぁというイメージがありますが、「火花」は決して堅苦しい作品ではありません。
「火花」は、主人公の若手芸人「僕」(徳永)が語り手となり、ちょっと癖のある先輩芸人「神谷」と過ごした濃密な青春を描いた小説です。
(huffingtonpostの「火花」あらすじ記事より抜粋)
「僕」は熱海の花火大会での営業のあと、飲みに誘ってくれた神谷と師弟関係を結ぶ。同世代の芸人が次々と売れていくなかで、僕も神谷もなかなか芽が出なかった。しかし「僕」はその後、深夜番組に出るなど少しは売れ始めた。しかし神谷は売れないまま、同棲していた女性に恋人ができたため女性の家を追い出された。一方「僕」は、神谷を漫才で笑わせることばかり考えていた。しかし、神谷は笑ってくれなかった。
その後、神谷は借金を抱え、行方をくらましてしまった。「僕」もその後、仕事が徐々に減っていった。漫才の相方の彼女のお腹には赤ちゃんができ、相方はその彼女との結婚を決意する。それを機に10年続いた漫才コンビを解散し、芸人を辞める決意をした。「僕」は神谷と1年ぶりに再会する。神谷は、笑いを追及し過ぎた果てに、衝撃的な姿で現れた……。
個人的には「起承転結」がしっかりしているところ、そして芸人という世界が描かれながらも難しい言葉があまり用いられていない部分で最後まで面白かったです。
これにはもちろん又吉さんがお笑いの道で生活されてきた部分が反映されていたりするようですが、著者の人柄が文章に溢れ出ているなぁと思った表現もありました。
神谷さんが厳しい人物として描かれながらも時に優しさを見せる部分に、理想の先生像が見えてくるような感じがしましたね。
「お笑い芸人だから芥川賞受賞できたんだろ?」と思われる方も中にはいらっしゃるでしょうが、選考委員の皆さんは偏見を持たずに選考されたと思いますし、お笑い芸人が書いた作品だからこそ読書が苦手な方でも読みやすい作品ではないかと思います。実写化あるんだろうなぁと意識するくらいに。
「火花」を読むなら在庫待ちが無く、紙の本より安いkindleで読むのはいかがでしょうか。
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