(出典:togetter.com)
毎回、衆議院議員総選挙と同じ日に行われている「最高裁判所裁判官国民審査」。
選挙の報道は盛んなことに対して、こちらのほうはメディアではあまり取り上げられない傾向が強いです。
そもそもこれ自体「何?」という有権者も大勢いらっしゃいます。
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最高裁判所裁判官国民審査とは
最高裁判所裁判官国民審査(以下、国民審査)とは、最高裁判所裁判官が職務に適切な人物かどうか、国民が直接意思表示をする制度です。
最高裁判所裁判官(15人)は内閣によって任命されており、任命後初めて行われる衆議院議員選挙の時に国民審査に付され、10年経過した後最初に実施される衆議院議員選挙の時に再審査されます。
上記の条件で2017年に審査される裁判官の数は、7人です。

やめさせたいと思う裁判官には、投票用紙の氏名の上の欄に、×を書き、
やめさせなくてもよいと思う裁判官には、何も書かないという形で投票を行います。
×以外の記号を投票用紙に書くと、投票用紙ごと無効になってしまいます。
裁判官たちがどのような裁きを行ったかは、最高裁判所裁判官国民審査公報というものが発行されていますので、そちらを参考にするとよいでしょう。
●最高裁判所裁判官国民審査公報(平成29年10月22日施行)
全ての裁判官に×を付けている理由
そもそも私は裁判官がどのような裁きを下したかということに関係なく、いつも国民審査があるたびに全ての裁判官に×を付けています。
国民審査のシステムに疑問がある
国民審査は、有効票数の過半数の×があった時点でその裁判官が罷免される仕組みですが、今までに罷免された裁判官は1人もいません。
最も多い不信任率でも1972年に行われた下田武三氏の15.17%であり、国民審査で裁判官の職を追われることはまず無いといってもいいでしょう。
ですから、1人の裁判官が10年以上就くのは極めて稀なため、再審査される裁判官も過去に6人しかおらず、儀式的なものになっています。
国民審査だけで司法への意識が高まらない
裁判員制度は衆議院選挙の有権者の中から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度です。選ばれた裁判員の方にとってはこうした経験は司法への意識を高めることができますが、国民に平等に与えられている司法のチェック機能は、国民審査しか無いのです。
国民審査自体に興味のある方は審査にかけられる裁判官の情報を調べたりしますが、それ以外の有権者に取ってみれば「ワケが分からない」と思うだけでしょう。
よって国民審査の制度に疑問がある・改めて欲しいという意味をこめて×を付けています。
まぁこんなことをしても制度は変わりませんが、ほかに意思を示せる場が無いので仕方ありません。
国民審査を変えるためには憲法改正が必要
ということで、私としては最高裁よりおかしいと思っている高等裁判所の審査を導入するか、儀式的になっている今の国民審査を改めたほうがいいのではないかと思っています。
一度国民審査にかけられた裁判官が、罷免することなく事実上定年まで安泰できる制度には疑問です。
国民審査は日本国憲法第79条で規定されているため、国民審査の規定を変えるためには憲法を改正しなければなりません。
●日本国憲法第79条
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
審査に関する事項は、法律でこれを定める。
最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
最高裁判所の裁判官は、少なくとも国政選挙が行われるたびに全員国民審査にかけてもらいたいものです。
憲法79条の改正が議論されないものでしょうか?